人材紹介事業のジェイ・エイ・シー・リクルートメントは、2021年第4四半期(10‐12月)のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向をまとめ、2022年1月26日概要を発表した。同社の調べによると、シンガポールの求人数は対前年同期比132%、対前四半期比90%で推移した。
第4四半期中のシンガポールの国内状況については、「シンガポール貿易産業省が発表した2021年第4四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前年同期比で5.9%増、2021年通年の成長率は7.2%増と2010年以来の高水準となり、政府の公式予測とほぼ一致する伸び率を記録した。しかし、ウィズコロナ政策を掲げ、ワクチン接種完了者を対象に隔離なしの入国許可VTL(Vaccinated Travel Lane)の枠組み拡大を推し進めていたものの、新たな変異株『オミクロン株』の影響で水を差された。前年比、前期比ともに一番伸びたのは製造業で、それぞれ14.0%増、2.6%増となっている。半導体やエレクトロニクス関連も伸びが目立っている。第3四半期の渡航規制や入国制限の影響で外国人労働者不足だった建設業は前期比で減速した。オミクロン株の影響を最も受けるとされる観光・航空の回復の遅れが懸念されている」と説明した。
そのうえで、企業の採用動向に関しては、「オミクロン株の影響の懸念があるものの、2021年第4四半期の求人は前年同期比で増加し、新たな人員増、退職者の欠員補充ともにニーズが増加している。日系企業では22年度の予算組みの時期でもあることから、予算策定のためにさまざまなポジションの給与相場の調査依頼も増えている。入国制限もあり、国外候補者の採用は難しい状況であるものの、専門職など特定のポジションに関しては国外から採用するケースも見受けられた。引き続きシンガポール人やPR(永住権)保持者は採用時に優先して選考される状況にあり、配偶者ビザ保持者もワークパーミット(就労パス)取得により雇用が可能となることが判明した7月以降は採用の需要が徐々に増えている」とした。
一方で、求職者の動向に関しては、「例年通り12月のAWS(Annual Wage Supplement、1カ月分の補償ボーナス)支給後から年末にかけて徐々にローカル求職者の新規登録数が増えている。しかし、本格的に転職活動を始めるのは2022年1月の業績賞与の支給後からという人が多く、今は自身の現在の市場価値を知る目的の登録が増えている。年明けの退職者数を予想して採用活動を始める企業の求人が増える一方、それらの求人に応募を希望する求職者の数も増加傾向にある。コロナウイルスの影響による渡航規制や入国規制のため、日本在住の日本人求職者の新規登録は減少傾向である」と説明した。