住友商事は2021年3月8日、A.P. Moller - Maersk A/S、Fleet Management Limited、Keppel Offshore & Marine、Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping、Yara International ASAと、シンガポール港におけるSTS(Ship to Ship)方式での船舶向けグリーンアンモニア燃料供給の事業化に向けた共同検討について覚書を締結した。2021年3月10日発表した。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、海運業界における温室効果ガス(GHG)排出量削減に繋がる次世代の代替船舶燃料として期待される。特に再生可能な電気、水、空気のみから製造されるグリーンアンモニアは、ライフサイクルを通じてCO2を排出しないため、海運業界のカーボンフリー化に貢献する可能性がある。
6社共同検討では、競争力あるグリーンアンモニア供給網の開発、アンモニアバンカリング船の設計開発、海上輸送や貯蔵など関連するインフラを含むSTS方式での船舶向けアンモニア燃料供給に向けたサプライチェーンの構築を検討する。
合わせて、液化石油ガス(LPG)を起点とし、段階的にブラウンアンモニア(天然ガスを原料として製造されるアンモニア)や、ブルーアンモニア(ブラウンアンモニアの製造過程で発生するCO2を回収・活用したカーボンニュートラルなアンモニア)、グリーンアンモニアへの移行を目指す計画についても検討する。
また、シンガポールの関係当局や専門家の協力を得て、アンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインや法規制の整備に向けて取り組む。
6社の概要と共同検討における役割は下記の通り。
◇A.P.Moller-Maersk A/S
【所在地】デンマーク
【 業種 】海運会社
【共同検討での役割】コンテナ船のアンモニア燃料の需要計画策定及び運航会社の観点からアンモニア燃料の安全かつ信頼性のあるバンカリングオペレーションの検討等
◇Fleet Management Limited
【所在地】香港
【 業種 】船舶管理会社
【共同検討での役割】船員配乗を行う船舶管理会社の観点から、アンモニア燃料の安全かつ信頼性のあるバンカリングオペレーションの検討等
◇Keppel Offshore & Marine
【所在地】シンガポール
【 業種 】造船会社
【共同検討での役割】アンモニアバンカリング船、アンモニアレディLPGバンカリング船の設計開発及びアンモニア燃料のバンカリングのオペレーション・ガイドラインや法規制の整備を目的としたシンガポールの関係当局との折衝等
◇Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping
【所在地】デンマーク
【 業種 】研究機関
【共同検討での役割】アンモニア燃料のライフサイクルアセスメントやアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドライン等の策定を目的としたリスクアセスメント等
◇住友商事
【所在地】東京都千代田区
【 業種 】総合商社
【共同検討での役割】グリーン/ブルー/ブラウンアンモニア及びLPG燃料の供給・輸送・貯蔵・バンカリングを含む、競争力のある包括的サプライチェーンの構築に向けた検討
◇Yara International ASA
【所在地】ノルウェー
【 業種 】肥料メーカー
【共同検討での役割】シンガポール向けグリーン/ブルー/ブラウンアンモニア供給の実現可能性評価